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スタッフコラム

ヤノ販売スタッフがストレージやデータ運用の「なぜ?」「なに?」について解説します。

第2回:ファイルサーバーの設置時に気をつけること

年の瀬のこの時期、「仕事納めはオフィスの大掃除!」という方も多いのではないでしょうか?
この機会にぜひ、見直していただきたいのがファイルサーバー(NAS)の設置場所です。
最近のNASはコンパクトな形状のため、運用には不向きなスペースにまで収まってしまうことやタコ足配線など、環境が原因でトラブルが発生する場合もあります。

では、どのような環境、場所に設置するのが良いのでしょうか?
当社NAS製品のN-RAID 5500Kシリーズを例に、ひとつずつ説明をしていきます。

■ NASの主要部品はハードディスクドライブ。

【空気の流れ】N-RAID 5500Kシリーズ当たり前の話ですが、データが入っているハードディスク部分は何より大事です。しかし、ハードディスクは熱に弱いにも関わらず、困ったことに自ら熱を発生させています。これはモーターを内蔵しているため仕方がない部分なのです。では、どのように対策をするべきでしょうか。

N-RAIDの場合、イラストの通りそれぞれのディスクトレイ部分から吸気しているため、ハードディスクを冷やす効果が大きくなっています(※本体の左側面からも吸気しています)。しかし、吸気口のある前面や左側面、排気口のある背面を壁やモノで塞いでしまうと、空気の流れが止まってしまいます。こうなるとN-RAIDの中に熱がこもり、ハードディスクが冷えません。特に稼働中の機械で塞ぐと、その機械の熱を渡されてしまうため、大変危険です。

N-RAIDに限らず、ファイルサーバの吸気と排気のスペースは十分に空けてください。

■ 精密機器にはホコリが大敵。

N-RAIDはコンパクトで小さな隙間にも置くことができるので、色々な場所に置かれているのを目にします。そのなかには、私共が感心するようなしっかりとした場所もあれば、長期運用には適さない場所もあります。適さない場所の中でも意外と多く目にするのが、直接の床上です。今回はこれに絞って話を進めます。

上の項目で説明をしたとおり、N-RAIDは周りの空気を吸っています。床上というのは非常にホコリがたまりやすいので、吸気の際にまとめてホコリを吸ってしまうことになります。

良い環境とは、サーバーラックの中に入れて振動・転倒防止の処理を施すことになりますが、そこまではなかなか難しいのが実状と思います。机や棚の上に置いて、振動・転倒防止をするだけでも、安全性は格段に高まります。どうしても難しい場合は、床上に直接置くのではなく、安定した台などを床との間に挟むことをお薦めします。こうした少しの気遣いで、安定性が大きく違ってきます。

■「たこ足配線」がたたって動作不安定。

NASの電源はどこから取っているでしょうか。正常動作していると思い油断していると、思わぬ落とし穴にはまってしまいます。
ひとつのコンセントの口からいくつものタップを接続している「タコ足配線」になっていると、急に電源が切れたり、定格以上の電流が流れてフリーズすることもあります。また、複合機(コピー/FAX)やレーザープリンタなどと同じ系統から電源を取っている場合、それらの稼働時に入力電圧が一時的に低下する場合がありますので、「タコ足配線」の見直しとともに電源の系統にも気を配っていただくことで、無用なトラブルを起こさないようにしましょう。

■UPS(無停電電源装置)でより安全に

「タコ足配線」を回避できても、停電などで急に電源が切れてしまうと、ハードディスクに悪影響が出る場合もあります。いざという時のために、UPS(無停電電源装置)の導入をお薦めします。
UPSは、停電や電圧変動などが発生した際に、UPS内部の蓄電池(バッテリー)に蓄えられた電力をコンピューター機器に一定時間、供給する為の装置です。
N-RAIDの場合、UPS(無停電電源装置)と連動する自動シャットダウン機能がありますので、未導入のお客様はぜひ対応UPSの導入をご検討ください。

どれほど良い条件で使っていても、絶対に壊れないとは言えません。また、データ喪失の6割以上はハードウェアによらない人為的なミスによるものです。(当社調べ)
当社ではいざという時に業務の停止時間を最小限に抑える工夫として、NAS同士のバックアップ(二重化)を推奨しています。

一度NASを設置し、運用を開始するとなかなか環境を見直す機会はないかもしれませんが、小さなことでも改善するとトラブルを未然に防げる可能性は高くなります。
今一度、ご使用のシステム環境を確認してみてください。

なお、運用中のNASを移動や清掃をする際には、必ず事前にデータのバックアップを取ってください。
データのバックアップ後、NAS本体をシャットダウンして、ACケーブルを抜いた状態で作業を行ってください。
安全で快適な環境を作るための移動や清掃で、物損してしまったり急に電源が入ってしまい、大事なデータが消えてしまうかもしれません。
もしものためのデータバックアップを常に意識して、より安全で快適な環境を構築してください。

(2014.12.19/カスタマーサポート・高野)