第1回:バックアップとアーカイブの違い
「バックアップは取られていますか?」
私たちは時々、NASをご導入いただいているお客さまにお尋ねします。
そんな時 "NASに保管しているデータがバックアップになるのでは?" と思われる方も少なくないと思います。
しかし、NASの運用方法によっては"バックアップになっていない"ことがあります。
どのようなデータがバックアップで、どのようなデータがバックアップでないのか。
「バックアップデータ」と混同されやすい「アーカイブデータ」、「オリジナルデータ」とともに、使用方法によって異なる役割を持つ3種類のデータについて正しく理解し、データを安全に保管しましょう。
■ オリジナルデータ…原作、原物、原本となるデータ。
一般的には、個々のパソコン内や外付けのハードディスクに保管することが多いと思います。
その他には、NASに保管したデータをNAS上で直接ファイルを開いて作業している場合には、NASに保管されているデータがオリジナルデータということになります。
オリジナルデータは1つしかないので、これが壊れるとデータを消失してしまう状態であることを認識する必要があります。
■ バックアップデータ…オリジナルデータの複製データ。
個々のパソコンに保管しているデータのコピーをNASに保管している場合には、NASに保管されているデータがバックアップデータということになります。NASにオリジナルデータを保管している場合には、バックアップデータの保管先として、別のサーバーや外付けハードディスクを用意する必要があります。
バックアップデータは、万一オリジナルデータを消失しても業務を継続できるように、オリジナルデータとは別のストレージに保管することが鉄則です。
■アーカイブデータ…オリジナルデータを別の場所に移動したデータ。(オリジナルデータとイコール)
使用頻度が低くなったオリジナルデータを別の場所に移動したものが、アーカイブデータです。
プロジェクトの終了とともに、個々のパソコンに保管していたデータをサーバーに移動し、パソコン上からは削除してしまうといった場合がこれにあたります。
オリジナルデータを"移動"しているだけなので、バックアップデータとは違い保管されているデータは1つだけです。
■<番外編> 使う人によって意味が異なるデータ
例えば、Aさんが昼間に作業をしたオリジナルデータを帰宅前にNASにバックアップします。Bさんが夜勤中にAさんの作業データについて問い合わせがあった場合、Bさんはサーバーのデータを参照します。この時、Aさんにとってのバックアップデータは、Bさんにとってはオリジナルデータになります。
それぞれのデータの役割を整理してみると"バックアップデータだと思っていたものが実は違った"という事に気付かれるかもしれません。
NASのメリットは、データを一元保管できることです。データの保存場所を一ヶ所に集約することで、常に最新のデータを参照できる環境を実現できます。しかし、そのデータが一台のNASの中にしかない、つまりバックアップデータが存在しない状態ではNASの故障はもとより、誰かが誤ってデータを消してしまうなど人的ミスでもデータを消失しかねません。
今一度、お使いのデータの役割を見直しバックアップデータが存在しない場合は、早急に対策を取るようにしてください。
(2014.10.16)