ファイルサーバーではなく、なぜNASなのか
ヤノ電器はサードパーティーとして、20年以上に渡りストレージ装置を提供してきました。その経験からまずストレージとして安定した環境を提供する事が第一であると考えています。
NASのような専用サーバーは、汎用サーバーのように機能を足したり引いたりする事はできませんが、システムごとに構築を行う必要性もなければ、エンジニアによる品質のバラツキもでない動作保証が可能なクローズド(限定的)な環境(製品)を提供することができます。
そういった理由で、安定した品質のものを供給する事ができる、NASの開発に取り組んできました。
N-RAIDの一番の強み
N-RAIDが他のNASに比べて、最も優れていると自負する点は「MacとWindowsの混在環境における安定運用が可能」な点です。今の時代はOSをはじめ、市場に新しいものが出てこない、いわゆる寡占状態なので、どのメーカーの製品も似通ったものになってきています。その中で何に注力するのか、こだわりのポイント、コンセプトをしっかり持つ事が重要だと思います。そのために、幾つものバージョンのOSとPCでの動作検証を行い、安定した動作の提供を実現しています。
低消費電力型CPUを採用した理由
ファンやモーターといった稼働部品は、その故障が機器障害の中でも大きな割合を占めていますので、稼働部品を少なくする事こそが故障の発生頻度を減らし、製品の信頼性を向上させる事に繋がります。
4000Zシリーズを開発した当時は、低消費電力型のCPUでは必要な能力が確保できず、採用にはいたりませんでした。その為、搭載したCPUの熱を逃がす為のファンを取り付ける必要がありました。しかし、N-RAIDを導入されている企業の多くはサーバー室や専門の技術者が存在しないので、置き場所にまでそれほど注力されることがなく、予想以上にほこりを吸いやすい場所に置かれている事もあり、CPUファンにほこりが溜まってトラブルの原因となっている事が分かりました。
N-RAIDのコンパクトさ、手軽さを損なわずにこういったトラブルを避ける為にも、4000Tシリーズではファンが不要な低消費電力型CPUを採用することにしました。
ハードディスクの選定について
ハードディスクにはいくつかのグレードがあり、このグレードによってハードディスクの安定性が変わってきます。ハードディスクは、円盤状のディスクを高速回転させたところに磁気ヘッドを移動させる事で読み書きを行っています。
N-RAIDのように、一つの筐体に複数のハードディスクが入っていると、上記の動作が同時に行われることになり、振動の増大や共振の原因となります。そのためにヘッドの位置がズレてしまい正確に読み書きを行う事ができなくなります。このズレを正すために、パリティと照合し合うまで同じ動作を繰り返すという事がハードディスクの内部で発生してしまい、正常な応答速度が確保できなくなったり、位置調整を何度も行う事でハードディスクの寿命を縮める原因となります。
そこで、4000Tシリーズでは振動を感知し、ヘッドの位置補正を行いアクセスの繰り返しの発生を抑えるために「加速度センサー」が搭載されたハードディスクを採用(※)しました。これにより、ハードディスクの長寿命化と高速転送を実現する事ができます。
※2TBモデル以上に採用しています。
日本製パーツの搭載のこだわり
N-RAIDでは、電源ユニット、冷却用ファンに日本製のパーツを採用しています。日本製にこだわるのは、海外製のものを採用し、失敗をしてきた経験から日本のメーカーの品質管理の良さを実感したからです。
安定した高速ファイル転送の秘密
N-RAIDには、ハード的なRAID構成を採用しています。
NASの多くは、ソフトRAIDと呼ばれるソフトで処理を行い、複数台のディスクを管理するものでCPUへの負荷が大きく、一度のアクセス数に限界があります。一方、ハードRAIDは、パリティ演算やディスク管理といった部分をRAIDコントローラーに任せているので、その分アクセスが集中しても問題なく動作させることができます。加えて、N-RAIDへのMacでのアクセスにおいては、ソフトを最適化しているので、他社では実現できない高速転送が可能となっています。
ストレージメーカとしてヤノ電器が目指すNAS
専門の技術者などがいない中小企業でも簡単に扱える、シンプルで基本機能がしっかりしたものを提供していきたいと考えています。同時に、大きなデータや量にも対応できる処理速度、転送速度、コピーやバックアップ機能を強化し、RAIDの安定性を向上させていきたいと考えています。また、N-RAID単体での展開よりもネットワーク環境の見直しなど、運用を含めたシステムとしてご提供していきたいと思います。
これからNASの導入をお考えのみなさまへ
NASを使う上では、ネットワークや設置環境をはじめ、電源、振動、埃、熱、休暇中の事など広く、環境の検討をしていただきたいと思います。環境の事に加えて、どのようなデータをどのように活用しているのかを導入前に見直さなければ、データは増える一方で大きな導入効果が期待できません。現在お使いの方も、これから導入をお考えの方も、ぜひ一度そういった部分を見直し、ご活用いただければと思います。